部分的に歯並びを整える部分矯正は、手軽に短期間で歯並びを治すことができます。
部分矯正は、歯列に問題のある一部分だけを矯正する治療です。噛み合わせ全体を治すことはできません。
主に前歯のみの軽度な不正咬合に向いています。部分矯正は次のような方におすすめの矯正治療です。
歯列が凸凹と重なり合っている歯並びを叢生・乱杭歯(らんぐいば)と言います。
歯の重なりが大きくなく、ガタつきが軽度であれば、部分矯正で対応できることがあります。
・前歯の数本だけが少し前に出ている
・前歯の数本だけが少し後ろに倒れている
・前歯の数本だけが少し捻れている
・歯列が軽く凸凹としている など
上の前歯が前に出ている状態で上顎前突とも言います。
前歯の軽度の傾斜だけで、骨格的な問題がない場合には、部分矯正で治せることがあります。
歯と歯の間に隙間ができている歯並びです。空隙歯列(くうげきしれつ)と言います。
咬み合わせが浅い場合、前歯のみの部分矯正で改善できます。過蓋咬合(深い咬み合わせ)や、歯と歯の隙間が大きすぎる場合には、全体矯正が必要になります。
歯の一部だけが傾いたり捻れたりしている場合は、部分矯正の適応になることがあります。
後戻りは、矯正治療をした歯の位置が元に戻ることです。矯正治療後は、何も対策をしないと高い確率で後戻りが起こるため、リテーナーという保定装置を装着するといった対策が必要になります。
適切に歯の保定が行われず、後戻りが起きた場合、わずかな戻りであれば部分矯正で歯並びを再び整えることが可能です。
部分矯正は、歯列全体の矯正治療と比較して安価で短期間の治療になります。
ただしメリットもある一方でデメリットもあります。
両方を知った上で、治療を検討していきましょう。
また、部分矯正を希望していても、口腔内検査の結果、全体的な矯正が必要だと判断されるケースも多いです。
① 治療期間を短くすることができる
一部分の歯だけを動かす治療なので、治療期間を短くすることができます。
部分矯正の治療期間は、最短で3か月程度、長くても1年程度です。
ただし、全体矯正と同じように後戻りを防ぐための保定期間が必要になります。
② 治療費用を抑えることができる
治療する範囲が狭いので、治療費用も全体矯正と比較して安くなります。
全体矯正は装置料が100万円前後になることが多いのに対し、部分矯正の費用の相場は10万円〜70万円程度です。
③ 見た目の変化を感じやすい
部分矯正は、一部分の治療でありながら、前歯という見た目で目立つ場所の治療になるため、効果を実感しやすいです。
前歯の歯並びをコンプレックスに感じている方は多く、コンプレックスが解消されることで精神的にも良い影響があるでしょう。
① 対応できる症例が少ない
部分矯正は、主に前歯のみの軽度な不正咬合が対象です。
歯列を全体的に移動する必要がある症例や、噛み合わせの改善が必要な症例は対象になりません。
前歯の歯並びの改善のために、部分矯正を希望していても、矯正前の検査の結果で部分矯正ができない場合も多いことを覚えておきましょう。
② 噛み合わせの改善は難しい
部分矯正は、主に前歯の歯並びの改善を目的としたものです。
見た目を良くすることはできますが、奥歯が大きく関わる噛み合わせについては改善が難しいです。
部分矯正の費用の相場は10万円〜70万円程度です。
歯並びの状態によって費用が大きく変わります。
例えば、歯1本のわずかなズレを治すだけであれば費用は安くなりますが、前歯数本を比較的しっかり動かす場合には、全体矯正に近い70万円程度の金額になります。
部分矯正は、ワイヤー矯正、マウスピース矯正のどちらも対応しています。
ワイヤー矯正の場合は、矯正する範囲ののみ装置を装着することが多いですが、マウスピースの場合は部分矯正でも全顎のマウスピースを装着します。部分矯正は、使用するマウスピースの枚数が少ないプランになるため、費用が安くなります。